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2014年:国内避難民の数が3800万人に
ノルウェー難民評議会によると、2014年の国内避難民の数は3800万人であり、1日に平均3万人が国内で避難を強いられたことになる。3800万人という数は、ロンドン、ニューヨーク、北京全ての都市の人口を合わせた数と同じ規模である。
国内避難民となった人の多くが将来への希望を失い、過酷な状況で生活している。ノルウェー難民評議会が発表した報告書(The Global Overview 2015)によると、2014年紛争などが原因で新たに国内で避難を強いられた人は1100万人で、そのうち60%が5ヶ国(イラク、南スーダン、シリア、コンゴ民主共和国、ナイジェリア)に集中している。
これらの写真は紛争地域内で避難生活を送る避難民の様子を捉えたものだ。
地中海での惨劇 命を危険にさらして避難する人々
4月に入ってから密航業者が手配した船に乗り、地中海を渡る難民、移民の数が急増している。中でもリビアを出航し、欧州南部やギリシャを目指す人が多い。
今月は特にその数が増えているが、少なくとも2隻の船がイタリアのランペドゥーサ島沖で沈没し多くの人が命を落とした。助けを求める遭難信号がギリシャやイタリア周辺で受信されている。
先日イタリアの沿岸警備隊が、沈没しかけている船から火傷を負った難民を救助した。火傷を負っていたのは、リビアを経つ前に難民、移民が待機していたシェルターがカセットボンベを使った爆弾による攻撃を受けたからだ。
UNHCRはEUに対し捜索と救助活動の見直し求めるとともに、根本原因を解決するための包括的な施策を要請している。
サハラ以南のアフリカや中東における紛争、暴力激化により、2015年はこれまでに3万6000人がイタリアとギリシャを目指して地中海を渡った。
ナイジェリアでの戦闘:カメルーンに避難する傷ついた人々
3月後半、アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官はナイジェリアから避難している何千もの難民の現状を把握するため、カメルーンを訪問した。人々は対立の激化を受け、ナイジェリア北東地域からカメルーンへ逃れて来た。ミナワオ難民キャンプはグテーレス高等弁務官が訪れたキャンプのひとつで、難民が生活している。
ミナワオ難民キャンプは、ナイジェリアとの国境から120km北方に位置し、3万3000人のナイジェリア難民(おもにボルノ州からの難民)が生活している。これらの難民の多くは精神的ショックなどがひきおこすトラウマに悩まされており、物資、精神面両方の支援を必要としている。この難民キャンプには、家や持ち物を奪われ家族も失った人が避難している。怪我をしている人もいる。全体で7万4000人のナイジェリア人が難民としてカメルーンで庇護を求めており、またナイジェリアとカメルーン国境での対立により9万6000ものカメルーン人も家を追われている。UNHCRのフォトグラファー、ヘレン・コーがミナワオ難民キャンプに避難している難民から話を聞いた。
5年目を迎えるシリア難民の苦しみ
近年で最大の人道的危機をもたらしている紛争によって故郷を追われるシリア難民の姿。彼らは数ヶ月したら戦いは終わり、シリアへ帰れるだろうと思っていた。だが紛争は今年で5年目を迎えてしまった。
難民の多くが車やバス、バイクなどで避難するが、数々の危険が伴う。迫害と命の危険から逃れるために、砂漠や山を歩いて越え、避難することもある。
避難後は住むところの確保が難しく、レバノンでは簡略的な居住地、トルコやヨルダンでは難民キャンプ、そして都市部のベイルート、アンマンやイスタンブールでは未完成の建物や廃墟などに住んでいる。これらシリア周辺国の資源も難民の受け入れも限界に達している。
UNHCR はパートナー団体と共にシリア難民が生活を続けるために必要な住居・ 医療サービス・食糧・教育などを提供する活動を行い、そのための資金協力を要請している。
だがシリア難民が一番必要としているのは、紛争を終わらせることだ。紛争の終結はシリアの人々にとってシリアへ戻り故郷を再生するという希望を再び与えてくれるだろう。