フォトギャラリー
一番大切なもの:ブルキナファソに避難しているマリ難民
この「一番大切なもの」は、故郷から避難しなければならないとき直面する困難な決断のひとつを言葉と写真で記録している。UNHCR後援のもと、アメリカ人写真家ブライアン・ソコルは南スーダンで、避難する際持ってきた一番大切なものを手にしたスーダン人たちの肖像を写真に収めるプロジェクトを始めた。ソコルは難民たちになぜそれを持ってきたのか理由を説明してもらった。ソコルは続いてイラクのシリア難民に焦点をあて、今回は近隣国のブルキナファソの難民キャンプに逃れたマリ難民にカメラを向けた。写真はそれぞれの物を映し出すが、より多くを語るのは彼らの言葉、そしてストーリーだ。
スーダン人にとって、一番大切なものはおもにやかん、斧、水筒やかごなど、長く困難な道のりを生き延びるための物だった。シリア人にとっては、古い指輪、破れた写真、もう残っていないかもしれないドアの鍵など、多くが心情的なものだった。今回のフォトギャラリーで描写されているマリ難民の「一番大切なもの」は、文化的アイデンティティーと密接に関わるものが多かった。彼らはそれらのものが避難を強いられてもなお、人々とのつながりを感じさせてくれたかを語った。
アンジェリーナ・ジョリーUNHCR特使、ヨルダンに避難するシリア難民と対話
アンジェリーナ・ジョリーUNHCR特使は、世界難民の日を前にヨルダンにあるシリアとの国境を訪れた。そこでシリアの国境を越え、避難してきたばかりの難民から直接話を聞いた。ジョリー特使は、紛争をくぐり抜けてきた人々、またそのような人々を受け入れている国を支援するため、国際社会が強い関心や支援を行うことの重要性を訴えた。
「21世紀に起こった危機の中でも最悪の事態が今、中東で起こっています」とジョリー特使は言った。
「この危機の大きさに比べ、国際社会からの反応は極めて低い。より多くの人道的支援が必要であるとともにこの危機に対しての政治的な解決策が必要だ。」
シリア紛争は昨年、世界のどの紛争よりも多い難民を生み出した。この半年、その数は2倍となって160万人にまで膨れあがり、その中の54万人がヨルダンに避難している。
このヨルダン訪問の際、ジョリーUNHCR特使は、アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官と同行し、政府関係者やシリア難民と対話する機会を持った。
アルビルの子ども イラクの都市に避難するシリア難民
シリア難民のなかでも最も支援を必要としているのは、都市部で家族と避難生活を送る子どもたちだ。難民キャンプに滞在する難民と異なり、イラク、トルコ、ヨルダンなどの町や都市で生活する難民が支援や保護を受けるのは難しい。一方で難民キャンプでは、UNHCRや他の人道支援機関などが、困難に直面しながらも食糧、医療サービス、教育といった支援を定期的に行うことが出来る。しかし都市部で難民を見分け、支援するのは容易ではない。
イラクでは14万3000人の難民のうち、およそ10万人は都市部で生活しているといわれている。その10万人の約40%は18歳未満の子どもだ。これらの写真はブライアン・ソコルが北部の都市アルビルで撮影し、都市難民の中でも特に子どもや若者の生活の様子をとらえたものである。ここ2年で生活が不安な毎日へと変わった若者たちの日常生活の厳しさ、そして彼らの回復力、適応性と活力を伝えてくれる。
イラクのクルディスタン地域にある首都アルビルでの生活は厳しい。生活費は高く、仕事を見つけるのは難しい。難民もわずかな私財の大半を家賃に使わなければならない。UNHCRはパートナー、そしてクルド自治政府と連携し、支援活動を行っている。
モーリタニアの難民キャンプで栄養不良改善に取り組む
UNHCRはマリから避難した何万人もの難民と30万人近い国内避難民を支援するため、必要な予算を増額した。上乗せされた資金は、栄養不良改善の健康補助食品などに使われる。
モーリタニアのムベラ難民キャンプは7万人を超えるマリ難民を受け入れており、栄養不良の改善は大きな課題の一つである。昨年6月に行われた調査によると、ムベラ難民キャンプにいる5歳以下の子どもの13%以上が、深刻な栄養不良に苦しみ、41%以上が慢性的な栄養不良であることがわかった。
これまでUNHCRは、乳児や幼児に栄養補助食品を配る、母親を対象に健康に関する勉強会を開く、健康維持のための施設を増やす、はしかの予防接種を行い、水道設備を整えるなど、栄養不良改善、予防の面で様々な支援を行ってきた。
予算に追加された資金は栄養不良の予防と、対処をより強化するために必要だ。昨年UNHCRはマリ危機に対応するため1億4400万米ドルが必要であると訴えたが、実際に集まった資金はそのうちの32%に過ぎない。必要とされている支援は食糧、シェルター、衛生状況の改善、健康改善、教育の支援と多岐にわたる。