日本政府は、モザンビーク北部のカーボデルガード州北東部における治安悪化を受け、UNHCRが実施する国内避難民を対象とした人道支援に対して、総額90万米ドル(約9,500万円)の緊急無償資金協力の実施を決定しました。
2017年10月以降、断続的に発生している武装勢力による襲撃により、この地域は深刻な人道危機に直面しています。無差別の殺害や不当な逮捕、誘拐、女性や子どもに対する暴力など、重大な人権侵害につながるさまざまな事例が報告されており、住居や故郷を追われた人は25万人以上、近隣のナンプラ州やニアッサ州にも影響がおよび国内避難民が発生し始めています。
また、襲撃中に女性や子どもを誘拐し、強制結婚させるという事例も増えています。避難の途中で親族と引き離された子どもたちはさらなる危険にさらされ、暴力による精神的なトラウマも、緊急に支援が必要な課題の一つとして挙げられています。
モザンビーク北東部は、2019年4月のサイクロン「ケネス」、2019年12月と2020年1月の豪雨により甚大な被害を受け、いまだ復興のさなかにあります。加えて、治安情勢の悪化と大規模な人の強制移動により現地コミュニティの対応能力は著しく低下し、また、カーボデルガード州はアフリカ大陸の中で最も貧しい地域の一つともいわれています。このような複合的要因から、難民支援の現場の状況はさらに厳しさを増しており、早急な対応が求められています。
今回の日本の資金協力を通じて、性やジェンダーに基づく暴力の防止のための啓発活動や現地の病院、保健センターの対応能力の強化、国内避難民のニーズ・脆弱性の調査と支援関係者によるネットワークの形成、法的支援サービスや身分証明書へのアクセス改善に向けた支援活動が実施されます。 UNHCRはこれからも日本政府をはじめとしたドナーの支援を受け、世界各地の難民、国内避難民などに対する人道支援を拡充していきます。
【支援内容】
・性とジェンダーに基づく暴力に対する予防・保護のため、既存の病院・保健センターの能力強化や啓発活動
・被災地・周辺地域の避難民登録と脆弱性およびニーズ調査
・ 国内避難民やホストコミュニティに対し、法的支援サービスや身分証明書へのアクセス改善