無国籍者保護への鍵
無国籍者の地位に関する1954年条約と無国籍の削減に関する1961年条約は、世界中の無国籍者を保護し、無国籍を防止・削減する鍵となる法文書です。各地域の諸条約の基準や国際人権法によって補完されていはいるものの、上記2つの無国籍条約のみが無国籍の分野において存在する国際法となります。
何十年もの間、この条約への新たな批准・加入はごく少数にとどまっていました。そこでUNHCRは、1961年条約の50周年を祝して、2011年に2つの無国籍条約への加入を促進するキャンペーンを開始しました。結果はすぐに形となって表れ、年内に8カ国がいずれかまたは両方の条約に加入しました。加入順に、パナマ(1954年・1961年条約)、ナイジェリア(1954・1961)、フィリピン(1954)、クロアチア(1961)、セルビア(1961)、トルクメニスタン(1954)、ベナン(1954・1961)、ヨルダン(1954)の8カ国です。2012年には、ホンジュラス、ポルトガル、ブルガリア、モルドバ共和国の4カ国が二つの条約に加入をし、ブルキナファソとホンジュラスが1954年条約に加入、パラグアイ、トルクメニスタン、エクアドルが1961年条約に新たに加入しました。これにより、1954年条約の締約国数は65から76に、1961年条約の締約国数は37から49に増加しました。
2011年の12月7, 8日にジュネーブで開催されたUNHCRの難民条約発足60周年記念閣僚会議ではさらなる朗報が届きました。30カ国以上の政府が、近い将来いずれかまたは両方の条約に加入する旨を宣言したのです。こうして条約加入に弾みがつくことは、無国籍の防止・削減、さらには世界中の無国籍者の保護のための国際的な法的枠組みの形成の支えとなるでしょう。