実践を通して知見を得る 冨岡直さん(UNHCR駐日事務所インターン)

インターン仲間と冨岡さん(左)
© UNHCR

“表裏一体”の問題を
深く理解したい

私は大学院で紛争と軍事活動に関連する法律について学んでいたのですが、その裏で現実に発生する難民・国内避難民を含む人道的な問題について学ぶ機会が得られませんでした。将来は自身の専攻を活かした分野で働きたい思いもあり、この表裏一体の問題をより深く理解するために、主に人道支援を行っている国際機関でのインターンを希望していました。

その中で、UNHCR駐日事務所の法務部インターンは週4~5日のインテンシブなものであり、深く事務所の業務に関われると感じ、応募しました。募集要項の勤務開始時期と帰国のタイミングが合わなかったのですが、開始日に融通をきかせてもらうことができました。

リサーチの目的や背景を知る
重要性に気づく

日々の業務は、統計の作成、資料の翻訳から、出身国情報・判例・国家による実務例などのリサーチ、庶務全般まで多岐に渡ります。海外の有識者を招いたシンポジウム、研修、高等弁務官の来日などイベントも多く、時にはサポート側、時には参加者として、難民法や難民問題の勉強ができるのは非常に有益でした。

毎日異なる業務を忙しくこなさなければならず、効率化を図るためにもリサーチの目的や背景を知ることは非常に重要だと感じました。その点、疑問点がある時にはすぐ質問できる環境であったため、業務について一人で抱え込むことはありませんでした。

難民問題を
多様な視点で理解する

難民は一口に国際問題と言っても、国や地域によって切り口が異なります。日本にいる難民・難民申請者が直面する問題は他国のそれと比較することは容易ではありません。法制度から言語の壁、社会統合の困難さにいたるまで、さまざまな要素が存在します。

日本は1951年難民条約の締約国として政府が認定制度を運用しているため、駐日事務所の活動は主に日本の主体的な難民保護活動を支えることです。

インターンは法務部のミーティングにも参加できるため、事務所全体の活動について大局的に知ることができます。その中で、日本政府が求めること、国際社会が日本に期待すること、難民に真に必要な支援などを統合的に俯瞰し、解決策を模索し、示唆するのが駐日事務所の役割だと感じました。同時に法務部は、目の前で支援を必要としている難民・申請者の方々には関連NGO・自治体と協力して、具体的な支援を検討する役割も担っています。このように難民という大きな問題に対して、マクロからミクロの視点まで理解を深められるのは、法務部インターンであることの醍醐味だと思います。

また、漠然と国際機関で働きたい、国際協力をしたい、という方は多いと思いますが、具体的な分野や進路まで明確に描くのは難しいと思います。その点、駐日事務所の方々は真摯にキャリア相談にのってくださいました。一人一人が全く異なるバックグラウンドを経て勤務しており、インターネットや説明会で知り得る以上の情報をたくさん聞けます。さまざまな支援形態が存在する中で、自身がどの方面から難民問題の解決に携わりたいのか、何を達成したいのか、より具体的に考えることができました。また、UNHCRで働く方はインターン経験者が多く、そのような同じ志を有する他のインターン生とキャリアや将来の話ができるのもとても有意義でした。

経験豊富な職員の方からご指導いただきながら、日本の生の難民問題に触れ、実践を通して幅広い知見を得られるとても貴重な機会です。難民問題に関心がある、もしくは、あるけれど入り口が分からない、という方はぜひ挑戦してみてください。

UNHCR駐日事務所インターン経験者の声