【ヨルダン:医療支援と、自立を促す現金の給付支援】

日本の支援で建てられた病院
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日本政府はUNHCRヨルダン事務所を通じて2012年からシリア難民支援を継続して行ってきました。2015年も約10億円(約795万米ドル)がヨルダンに住むシリア難民に対する現金の給付支援と医療支援などに活用されました。

シリア難民が多く逃れている周辺国のヨルダンなどでは、難民に対する食糧、生活支援物資などによる物的支援は減少し、最近では現金によるサポートにシフトしはじめています。現金の給付支援を行う背景には、長期にわたる避難生活において、物資の配給に依存するのではなく自立を促すという目的があります。さらに現金の給付支援には、家庭によって異なるニーズに的確に応える事が出来るというメリットがあります。

都市部に避難する難民が増加している近年、ともすれば必要のない物資も提供しかねない画一的な支援形態の無駄を省くこと、難民が自らの意思で必要なものを購入する、自らが家計のやりくりをし、避難先での生活を工夫できる環境づくりを効果的に助けることが求められています。現金の給付支援は、脆弱な状況下にある家庭を適切に判断した上で、支援を受ける家庭が最低限度の生活を維持するために行われています。

UNHCRから月に70米ドルの現金の給付支援を受けているシリア難民のシェーカさんは、子どもの世話をしながら避難生活を続けています。「この支援が打ち切られれば、シリアに帰るしかない」と不安を漏らします。

現金の給付支援の他にも、医療支援、難民登録や難民保護、住居の提供やインフラの整備、生活物資の配布、レクリエーション活動や教育プログラム、そして越冬支援等が日本政府からの支援によって行われています。

ヨルダンの第二の都市イルビッドにあるUNHCR地方事務所の代表を務める阿阪奈美は、イルビッドで暮らす14万2000人のシリア難民の厳しい生活状況を目の当たりにしています。「日本は地理的にはこの地域から遠い位置にありますが、国際社会の一員として支援を続けていく必要性を感じています。」と、訴えています。