電気工事士として働く難民、ヨルダンの難民キャンプ


© UNHCR/Arisa Yoneyama

シリア難民のイサム(写真左)、ガッセム(中央)、アドナン(右)は、ヨルダンのザータリ難民キャンプで電気工事士として働いています。主な仕事は、ソーラーパネルや各シェルターの電力設備のメンテナンスです。

3人は2016年11月、JICAによる20日間の職業訓練を受けました。同時期に56人が同じ職業訓練を受け、その半数が同キャンプ内で電気関連の仕事に従事しているといいます。シリアでも電気工事士として働いていた経験がある3人は、職業訓練を通じて新たな電気関係の知識や経験、電力設備の安全性確保の方法などを身に付けられたといいます。

また、安定的な収入を得られることになったことで、家計の改善が見られ、家族が必要な物にお金を当てられるようになったと、喜びの声を上げています。シリアの状況が改善した際について、ガッセムは「シリアの再建にはエネルギーが必要ですので、職業訓練で学んだ太陽光発電の技術を活かしていきたいです」と夢を語っています。

約8万人が避難生活を送るザータリ難民キャンプでは、ソーラーパネルが2017年11月に稼動し始めたばかりで、難民キャンプにおけるソーラーパネルとしては最大規模です。これまでは電気代が高かったことから、難民キャンプ内での電力の供給時間は1日6~8時間でしたが、これによりザータリ難民キャンプでは電力を自給でき、今後は1日12~14時間の電力供給を目指しています。

また、電気代として支払っていた年間550万米ドルの節約が可能になり、その分を人道支援に充当することが可能となります。さらに、ソーラーパネルはヨルダンの送電線網に繋がっていることから、余剰分の電力はヨルダンのコミュニティにまわせるほか、ヨルダンの再生エネルギー目標の達成にも貢献しています。

ザータリ難民キャンプのソーラーパネル設置についてはこちら(英語)