金井昭雄氏 活動のきっかけ

[et_pb_image_caption admin_label=”Image with Caption” src=”http://www.unhcr.org/jp/wp-content/uploads/sites/34/2006/07/Thailand.jpg” caption=”1989年 タイ。” copyright=”富士メガネ” /]

金井氏が最初のミッションを立ち上げた1983年(昭和58年)、タイに保護されていたラオス、カンボジア、ベトナムなどのインドシナ難民は、アメリカやカナダなどへの第三国定住の機会を得て、語学研修やオリエンテーションなど様々な教育や、自立のための職業訓練をキャンプ内で受けていた。当時キャンプには、40歳以上の難民が多く、老眼が始まっているにもかかわらず、避難途中に眼鏡を紛失または破損し、適切な対応が無いまま放置され、「見ること」に大変不自由していた。

キャンプの担当者からは、教育効果を上げるため、眼鏡の寄贈を伴う「適切な視力改善サービス」が強く求められた。この要請に応えるためには、日本から単にメガネを物資として送るだけでは不十分で、現地で一人一人の難民の視力を検査し、それぞれに適したメガネを選ぶ必要があった。1983年は富士メガネ創業45周年にあたり、記念事業として社業の専門性を活かした社会奉仕活動の実施を模索していた折、「海外難民の視力改善活動」という機会に巡り会い、米国留学中の体験と、専門であるオプトメトリスト(視力ケアの専門家)としてのプロフェッショナルな使命感に基づいて、企業と社員の力を借りて実行することにした。

金井氏は,アメリカのオプトメトリー・スクールへ留学中(1966-1973年)、アリゾナのネイティブ・アメリカン保護地区などを訪問し、視力補正のためのスクリーニング(検査)と眼鏡の寄贈活動に参加する機会に恵まれた。その時の感動的な体験により、帰国後における専門分野を通じた人道支援活動に対する関心が高まり、機会があればぜひやってみたいと常々思っていた。

金井一家は樺太からの引き揚げ者で、終戦後、命からがら避難して来た。難民と同じような運命を体験しており、創業者である両親や、兄弟は海外難民に対する人道支援活動に深い理解があり、積極的に賛同した。

過去24年間、金井氏と約104名(第22回現在)の社員が難民キャンプを訪れ、スクリーニングを行ない、その人にあった眼鏡の寄贈している。眼鏡が合わない場合、帰国後に作り、送り届けている。また、状況によっては、スクリーニングを現地で活動している団体等に行ってもらい、結果をもとに眼鏡を作成、寄贈している。活動への参加を希望する社員も少なくなく、メーカー・問屋各社からの支援もあり、2006年5月に24回目のミッションを実行した。重な経験をしてほしい

活動展開の経緯

  • 1993年ころ、タイのインドシナ難民の自主的な自国帰還が開始、難民キャンプは随時閉鎖されてきた。
  • 当時ネパールに大量の難民がブータンから流入していたので、UNHCR東京事務所からブータン難民に対する支援を求められ、富士メガネは支援を開始。この数年は政情不安定のため、眼鏡を寄贈し、ネパール国内のNGOがスクリーニングを担当
  • 1997年、当時UNHCRアルメニア連絡事務所代表だったロバート・ロビンソン(現駐日事務所代表)の要請でアルメニアを訪問。アゼルバイジャンのナゴルノカラバフを巡る領土紛争から逃れて来た難民にサービスを始めた。ロビンソン代表は富士メガネが1989年タイのバンビナイキャンプを訪問した頃、UNHCRのフィールドオフィサーだった。富士メガネの活動を思い出し、大変苦労して当社にコンタクトをとった。アルメニア政府の「難民の帰化政策」に対応して、「視力改善サービス」が難民の『生活の質(Quality of Life)向上』、『安全保障』、『自立支援』などの面で役立っていると評価されている。
  • 2004年6月、UNHCRジュネーブ本部を訪問した折、担当者からアゼルバイジャンの状況の説明があり、難民や国内避難民に対する視力改善活動の希望が述べられ、翌年訪問が実現した。ミッション終了後、アゼルバイジャン政府からも感謝のメッセージが述べられ、活動の継続を期待されている。
  • 2006年5月16日から25日まで第2回アゼルバイジャン支援活動を行った。詳しくはこちらへ。

活動継続の原動力

(金井氏および視援隊参加者の言葉より)

  • ミッションを通じて、一言では言い表せない、様々なことを学んだ
  • 眼鏡の寄贈はサービスと物の組み合わせで、効果が即座にわかるため喜ばれる
  • 眼鏡の力で視力を取り戻し、見る喜びをかみ締める難民の姿を見て、こちらも感動する
  • 感動・喜びは国境を越え、社員・難民と共有できる
  • 協力のネットワークも広がり、ミッションへの期待は大きい
  • 視力向上への認識が高まる
  • 我々のサービスを待っているたくさんの人たちがいる
  • これからもいい仕事をし、たくさんの人たちに喜んでもらい、難民の役に立つよう、社員にもこの貴重な経験をしてほしい