UNHCR、キルギス平和構築に対し、日本政府からの6億1,000万円の資金協力を受ける

東京(15日)発 – 今般、キルギスタンの首都ビシュケク市において、日本政府による紛争予防・平和構築無償資金協力「キルギス南部における避難民及び帰還民コミュニティの帰還・再統合プログラム」に関する書簡の交換が行われた。UNHCRとの連携である本協力における供与額は6億1,000万円。

今回の日本政府による支援は、6月10日に南部キルギスタンにおけるキルギス系とウズベキ系住民の衝突に端を発した騒乱で発生した難民と国内避難民(IDP)支援のための国連緊急人道支援アピールの一環としてUNHCRが発表したキルギスタンに対する約2,306万ドルの支援要請に対応したもの。

6月上旬のオシュ州やジャララバード州においてキルギス系とウズベク系住民間の衝突では、300人以上の死者と2,000世帯以上の家屋が破壊され、この騒乱で約75,000人が隣国のウズベキスタンに逃れ、30万人以上がキルギス国内で避難民となった。この際、6月18日の早い段階で日本政府より30万米ドルに上る緊急無償資金協力を受け、UNHCRはウズベキスタンにおけるキルギス難民への住居支援と生活物資配布等を実施している。難民の9割以上が子ども、女性や老齢者などの脆弱層である等より緊急性が増す状況下で、日本政府による迅速な支援が実現したことの意義は極めて大きい。

その後6月27日のキルギスタンにおける国民投票の前後に大部分のキルギス難民が本国に帰還し、またキルギス国内における避難民も出身地域に戻ったが、現在でも約37,500人が住居を破壊されたために、さらにほぼ同数が不安定な治安を理由に避難民としての生活を余儀なくされている。

UNHCRとしては避難民の持続可能な帰還を実現するために、冬季が到来する前の早急な住居の復旧、帰還民の登録や権利保護、そしてコミュニティ開発を通した民族間の協調の促進プロジェクトなどを実施している。

今回の日本政府からの支援により、オシュ州とジャララバード州で損壊また全壊した住居を修繕または再建するための資機材を避難民に提供し、コミュニティ間の協力を進めるプロジェクト、避難民や帰還民の権利保護が確保されるためのモニタリングやカウンセリングを行う。また住処のない避難民に対しては、住居の再建までにウズベキスタンで使用されなかったテントを配布している(キルギス難民の早期帰還により使用されなかったテントをウズベキスタンより搬入して、キルギス国内避難民のために活用している)。

難民や避難民が出身地域に戻り、元の生活を始めるためには住居の再建が重要であり、南部キルギスタンにおける平和構築に貢献するプロジェクトである。ウズベキスタンとキルギスタンの国境を越えた避難民の発生と帰還に合わせて、時宜を得た日本政府からの支援に対し、UNHCRは感謝の意を表する。

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