ブルンジ難民の夢、起業トレーニングで後押し

起業トレーニングプログラムのパン作り教室
© UNHCR/Gina Meutia

多くのブルンジ人が隣国のタンザニアに繰り返し避難を強いられています。ナタリー*もその例外ではありません。ナタリーが夫と二人の子どもと一緒に難民としてタンザニアに避難するのは3回目です。2015年4月からタンザニア北西部のムテンデリ難民キャンプで、UNHCRとパートナー団体の支援を受けながら暮らしています。キャンプで農業をすることはできず、かといってキャンプを去ることもできない、とナタリーは悩んでいました。タンザニアの難民法では、政府が難民に労働許可書を与えることは可能となっていますが、法律を施行する体制が十分に整っていないため難民は未だに労働許可を得られずにいます。

避難して2年が経った今、ナタリーは日本政府からの支援金とUNHCRの協力によって運営されている起業トレーニングプログラムのパン作り教室に通っています。ナタリーの夢は、いつかブルンジに戻り、得意なパン作りの技術を生かして生計を立て、子どもたちを再び学校に送ることです。「私はおいしいパンを作る自信があります。平和が戻ったら家に帰ってパン屋さんを開きたいです」と、彼女は誇らしげに焼きたてのパンを分けてくれました。

UNHCRとパートナー団体は、長期的に避難生活を送る難民の自立をサポートすることに力を入れています。自立支援のアプローチは、難民の福祉や自立性を高めることを目標に掲げて実施されています。身につけたスキルや得たお金は、避難中に失った収入源を取り戻し、将来の生計を立てることに役立ちます。UNHCRとパートナー団体が協力しあい、難民にトレーニングの機会を提供することで、人道的支援に頼らず自立した生活の実現を目指しています。

「このトレーニングを通して将来の方向性を見出せたので、参加できてとても幸運でした。ただ、参加できる人数に制限があり、私のキャンプの友人の多くはまだ参加できていません。何もすることがないキャンプでは、先の見えない将来への不安で頭がいっぱいになります」ナタリーは、キゴマ地域の難民に対するサポートの強化を呼びかけています。

UNHCRとパートナー団体は、日本政府からの資金によってキゴマ地域で暮らす多くの難民に起業トレーニングを実施してきました。ただ、タンザニア全土でみれば、それはほんの一握りの難民にしか行き届いていません。タンザニアはブルンジ難民のアフリカ最大の受け入れ国であり、2017年の年初の時点でブルンジからの難民は約22万2000人に到達し、2015年4月の210人に比べ、約1000倍となっています。政治的緊張状態が続くブルンジでは、今もナタリーのように家を追われる人が増え続けています。

UNHCRは、日本政府からのブルンジ難民に対する多大なる支援に感謝の意を表します。

*難民の個人情報保護のため、ナタリーという仮名を使用しています