【イラク:現金の給付支援、支援対象者のニーズに合った使いみち】

エルビルの中心街で現金の給付支援の手続きを行うシリア難民
© UNHCR/M. Prendergast

イラクでの人道支援で、現金の給付支援の重要性が高まっています。2015年、日本政府による1881万米ドルの寄付のうち、625万米ドルが現金の給付支援に充てられました。内訳は国内避難民に475万米ドル、シリア難民に150万米ドルです。

UNHCRはイラクのクルディスタン地域で最も支援を必要としている難民と国内避難民の家族に、審査の上、現金の給付支援を実施しています。給付はイラクディナールで行われ、単身者には約200米ドル相当、10人かそれ以上の家族には600米ドル相当を支給しています。

現金の給付支援は、各家庭の脆弱性を判断する審査に基づいて選定された受益者が、最低限度の生活を維持することを可能にしています。個人のニーズに合わせて使いみちが決められ、市場が機能している場所では自分たちで必要な物品を購入できるため効率的かつ効果的な支援となり得ます。このような支援は、支援対象者がそれぞれの家計のやりくりを工夫することによって、ニーズを満たし、自己の尊厳の維持にもつながります。また、地域の市場や雇用、生産者、供給者を支援することにもつながり、難民や国内避難民の受け入れコミュニティ全体に恩恵をもたらしています。

日本政府からの支援により、2015年には難民の家族3157世帯と国内避難民の家族1万世帯に現金の給付支援を実施することができました。