Vol.3 イエローバンブー@霞ヶ関 オフィス街の本格派ベトナム料理

イエローバンブーの南さん ©UNHCR/C.Imaizumi

「旅するキッチン」本日の旅先はベトナムです。

サラリーマンが忙しく行き交う霞ヶ関。駅に直結した高層ビルの地下にあるイエローバンブーはせわしない日常の中でほっと一息つける場所です。 本場の味への強い思い、行列の出来るランチセット、そしてお客さん目線で考えられたメニューの数々。南雅和(みなみまさかず)さんのこだわりがたくさんつまったお店「イエローバンブー」をご紹介します。

本物のベトナム料理を日本に

日本の建設会社に勤めていた南さんは、日本のベトナム料理は本来の素朴さが失われていると感じ、本物のベトナム料理を提供するレストランを開店することを決意しました。

仕事の関係でベトナムのホーチミンに駐在することになった南さんは改めて故郷の味に触れ、その美味しさをどうしても日本に伝えたいとベトナム料理とその文化を研究し、日本に帰国後「イエローバンブー」をオープンしました。

洗練された店内のインテリア ©UNHCR/C.Imaizumi

パクチーやスパイスを多用するタイ料理やほかの東南アジア料理と比べて、素材の味を生かしたシンプルな味付けが特徴のベトナム料理。和食にも通じるベトナムの味は日本人にとっても親しみやすいのです。

例えばエスニック料理の代名詞ともいえるパクチーは、実はベトナム料理にはあまり使われないとか。エスニック料理に苦手意識を持つお客さんにもぜひ食べて欲しいと南さんは言います。

やっぱり人気の麺類:ブン・ボー・フエ

©UNHCR/C.Imaizumi

ベトナムといえば平たいライスヌードルのフォーが有名ですが、イエローバンブーではフォーのほかにもたくさん麺料理を取りそろえています。ブン・ボー・フエ(840円)もそのひとつ。フエ風牛肉麺のことで、食の都フエの名物料理です。ブンは丸くて太めの米麺でフォーに比べると歯ごたえがあります。

丸くて太めの米麺 ©UNHCR/C.Imaizumi

爽やかなレモングラスの香りに食欲が刺激されるブン・ボー・フエは、1日かけて仕込んだ牛肉ベースのスープに赤唐辛子を加えたスパイシーな一品。額に汗がにじむ、ほどよい辛さに仕上がっています。ヘルシーな米麺はカロリーを気にせず食べられるのが女性にもうれしいですね。お肉もたっぷり入っているので男性でも大満足間違いなしです。

こだわりのお店作り

常にお客さんの視点に立って考えている南さん。価格を安く、量を少なくすることで、少人数のお客さんでも色々なメニューを少しずつ試してもらえるようにしたと言います。

「せっかく来てくれたのに1品でお腹いっぱいになってしまうのはもったいない。だから、気軽に色々なメニューを食べてほしい」という南さんはさぞかし女性の心理を心得ているんだろうと思いきや、「女性にはぜんぜんモテないんだけどね。」と笑ってはぐらかしていました。

オフィス街ということもありランチ時間には激戦区と化す霞ヶ関界隈で、お昼時には行列が絶えない「イエローバンブー」。その人気の秘密は大満足のボリュームと選べるお得なランチセットです。

5種類の定番と日替わりのランチメニューには生春巻きとデザートが付いて870円とお得!特に人気なのが、ベトナムカレー(甘口・辛口)です。ベトナムのカレーはタイやインドに比べてあまり日本では馴染みがありませんが、ピリっとした辛さのなかにも甘さが感じられ、口当たりがマイルドなカレーはぜひ試して欲しい一品です!

ランチの日替わりメニューを問い合わせる電話が殺到したため、今ではブログでメニューを告知しています。ほぼ毎日更新してるので来店する際にはぜひチェックしてみてください。

お店の公式ブログはこちら:http://yellow-bamboo.blogspot.jp/

©UNHCR/C.Imaizumi

扉をくぐればそこにはベトナム

南雅和さんはベトナム、ホーチミン生まれ。インドシナ難民として80年代に来日しました。奨学金を得て高校、大学に進学し、難民研究会をつくり、募金活動や難民キャンプ訪問をするなど活動的な学生時代を過ごしました。日本に帰化した南さんは、日本の建設会社に就職し、駐在員としてベトナムのホーチミンで10年勤務し、帰国後イエローバンブーを開店しました。現在は日本人に本場のベトナム料理を伝えるべく忙しい毎日を送っています。

「扉をくぐればそこにはベトナム」、そんな思いを胸にお客さんを迎える南さんのこだわりは料理だけではありません。なんと店内の家具は全て南さんがベトナムから直接仕入れたというこだわりっぷり!テーブルを優しく照らすランプはノンラーという傘のような帽子をアレンジしたもの。まるでベトナムに居るかのような店内にお料理もいっそう美味しく感じられますね。

家具は全てヴェトナムから仕入れたもの ©UNHCR/C.Imaizumi

そんな南さんにとって何より嬉しいのはお客さんに本物のベトナム料理を知ってもらうこと。ヘルシーな料理として健康志向の女性に支持され、フォーを中心にブームになったベトナム料理は今ではすっかり知名度も高くなり、どこでも気軽に食べられるようになりました。

しかし本場の味が失われてしまっていることが多いのが現状だと南さんは言います。南さんは本場の味を知ってもらえばもっとベトナム料理の良さを分かってもらえるはずだという強い信念のもとに料理を作り続けてきました。

お客さんが繰り返し来店してくれることや、ベトナム在住暦の長いお客さんが本場の味を求めて来店してくれることがとても嬉しいと話してくれました。

競争の激しいエリアでのレストラン経営は決して楽ではないという南さんですが、こだわりの店作りに対する努力が実り、イエローバンブーはお昼時には行列の出来る人気店に成長。評判が評判を呼び、ベトナム料理研究家の方も度々来店したり、ベトナムのローカル誌の取材を受けるなどその人気は揺るぎないものになっています。

ちょっと一息 ベトナム流コーヒーブレイク

 ©UNHCR/C.Imaizumi

ベトナムにはココナッツミルクや南国のフルーツなどを使用した南国ならではのスイーツがたくさん。「ココナッツしょうが団子(490円)」は緑豆のあんとピリッと刺激的なしょうががのったお餅がココナッツミルクに浮かんだベトナムでも人気のスイーツです。甘すぎないあんとリッチなココナッツミルクの相性がぴったり!

©UNHCR/C.Imaizumi

ブラジルに次いで世界第二位のコーヒー生産国のベトナムではコーヒーが生活の大事な一部になっています。コップの底に甘いコンデンスミルクをたっぷり入れ、その上に濃いコーヒーをドリップさせてかき混ぜながら好みで甘さを調節するのがベトナムスタイル。ポタ、ポタとコーヒーがゆっくりドリップされていく様子を眺める時間はとても贅沢に感じられます。

ベトナムコーヒー(490円) ©UNHCR/C.Imaizumi

スパイシーな麺料理やカレーからほっとする甘さのスイーツまで。イエローバンブーで多彩な料理を楽しみながら、ベトナムに思いを馳せてみてはいかかですか?

©UNHCR/C.Imaizumi
店名 イエローバンブー YELLOW BAMBOO
住所・連絡先 東京都千代田区内幸町2-1-1飯野ビルB1 TEL03-6206-1461
行き方 東京メトロ丸ノ内線・日比谷線・千代田線「霞が関」駅直結
営業時間 平日11:00-22:00  土曜11:00-19:00
定休日 日曜・祝日

※お店のデータは取材時から変更する場合があります。おでかけの際は事前にご確認ください。

お店のホームページはこちら
お店の公式ブログはこちら

取材日:2013年12月