【ユニクロ社員 難民キャンプ派遣プログラム報告会】

2011年にUNHCRとグローバルパートナーシップを結んだユニクロは、ふたつのインターンシッププログラムを開始しました。日本に住む難民の自立支援としてユニクロ店舗で就業体験の場を提供する「難民インターンシップ」。もうひとつは「難民キャンプ派遣プログラム」です。これはユニクロ社員を約半年間2名ずつ(年間4名)難民キャンプに派遣し、ユニクロが実施している「全商品リサイクル活動」の一環として、衣料ニーズの把握や衣料配布などを行なう取り組みです。

この「難民キャンプ派遣プログラム」のインターンとして今年5月からバングラデシュのUNHCRコックスバザール事務所に派遣されていた 藤原希望さんと杉山夏葵さんが帰国し、9月6日UNHCRで報告会を行いました。

写真(右)藤原希望さん(左)杉山夏葵さん (c)UNHCR


お二人の主な活動内容
1、バングラデシュの難民キャンプでのリサイクル衣料の配布と調査
2、難民の女性の衛生環境の改善や経済的自立をめざし、繰り返し使える布製サニタリーナプキン(生理用品)を難民キャンプ内で生産配布する仕組みを確立
3、難民写真集の作成


【難民キャンプでの衣料配布活動】
藤原さんと杉山さんは難民キャンプで20回以上、計7566人に衣料の配布を行いました。またNGOと連携して難民キャンプの中で生活している人だけではなく、キャンプの外で避難生活をする未登録の難民や、障害を抱える人への衣料の配布にも取り組んだそうです。
衣料配布のあとは衣料を受けとった事に対する率直な声や、さらなるニーズ把握のため500人にアンケート調査をおこないました。

【布製サニタリーナプキンプロジェクト】
難民女性の支援活動のひとつである布製サニタリーナプキンプロジェクトは杉山夏葵さんが担当しました。すでに生産に携わった経験のある難民の女性達を再雇用し、プロジェクト改善をおこないました。

(c)UNHCR

 

外出が制限され、教育も受けられないことが多い女の子がプロジェクトに参加することによって大きな変化が見られたと杉山さんは言います。

「このプロジェクトは衛生環境の向上は勿論ですが、女性の地位向上、自立支援も大きな目的としています。15歳以上の女性110名が生産に関わっていて、生産現場は常に彼女たちの笑顔とおしゃべりが絶えません。また、生産活動でわずかながらも収入が得られるため、経済的に家計に貢献することができ、家族の彼女たちへの認識も変化するのです。今まで家族で最後にしかご飯を出してもらえなかったけれど、このプロジェクトに参加するようになってから、ご飯が一番はじめに食べさせてもらえるようになったという女の子の言葉には衝撃を受けました。小さな布1枚から始まるこのプロジェクトですが、その1枚が人の人生を変えられるのだと実感しました。」

杉山さんはこのプロジェクトに加え、女性達に向けた語学教室を開いたり、「ライフスキルワークショップ」を開き、公衆衛生や家庭内暴力とどう対峙するかなど自由に議論する場を設けるなどの活動を行いました。

【難民写真集の作成】
難民写真集の作成を担当したのは藤原希望 さん。難民キャンプの中をくまなく歩き、そこで生活する人々と対話しながら多くの写真を撮ったそうです。人々の生活に密着したからこそ、状況がより理解出来たといいます。時には家の中に招き入れてもらい、写真を撮ったという藤原さん。

(c)UNHCR

 

「写真を撮らせてもらうには信頼関係がないと難しい。私は幸い衣料の配布をおこなっていたので、顔を覚えてもらえていました。撮影のとき、日々の生活の苦しみや悲しみを口にする人もいて、そんな時はより難民の人達の本音に触れた気がしました。」
藤原さんの写真集は、今後ユニクロのウェブサイトや、UNHCRコックスバザール事務所のウェブサイトなどで公開される予定です。楽しみにお待ち下さい。
杉山さんはバングラデシュへ戻り、ユニクロのソーシャル・ビジネスで活動するそうです。藤原さんはCSR部に配属になり、新たな一歩を踏み出します。

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