【プレスリリース】シリア紛争7年目突入、UNHCRが“シリアは岐路に立っている”と懸念

—平和へのわずかな希望はあるものの、国内外で避難を余儀なくされている何百万人ものシリア人の苦悩と支援の必要性がなくなることはありません。シリア紛争は「複合的な失敗」です—

シリア紛争が7年目突入という悲劇的な節目を迎えようとする中、UNHCRは国際社会に対し、国内や国外で避難生活を続ける罪のないシリア人の苦悩を緩和するために寛大な支援の倍増を促しています。

先ごろシリアを訪問したフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は、「シリアは岐路に立っています。シリアの平和や治安回復のために劇的な対策がなされない限り、取り返しがつかないような損傷が数世代にわたって続くことになるでしょう」と述べています。

シリア国内で人道支援を必要としている人は1350万人に上り、630万人が国内避難しています。また、大勢の人が地中海を越えて避難しています。約300万人の5歳未満の子どもたちは紛争がない生活を知らずに育ってきました。490万人(大半の女性と子どもたち)は周辺国で避難生活を送っており、受け入れ国は社会的、経済的、そして政治的に膨大な負担を負っています。グランディ高等弁務官は「突き詰めると、シリア紛争は(難民や国内避難民の)人数というよりも、人々が従来の生活できなくなったことが問題なのです」と指摘。「難民、受け入れ国、そしてホストコミュニティは私たちの支援をこれまでで最も必要としています。家族は引き裂かれ、罪のない市民は殺害され、住宅は破壊され、仕事や生活は打ち砕かれました。これは(国際社会の)複合的な失敗です」

UNHCRはこれからもシリア国内や周辺国にいる難民、国内避難民に人道支援と保護を続けていきます。UNHCRはパートナー団体とともに、数百万人ものシリア人に生命に関わる支援を行ってきました。2016年には、氷点下でも生活を続けられるよう越冬支援物資を100万人以上のシリア人に配布したほか、食糧や医薬品、寝具、調理用器具など基本的な生活支援物資を400万人以上に配布しました。また、シリアの複数の箇所にあるUNHCRのコミュニティセンターでは子どもたちの保護や教育、医療サポートなどを提供し、200万人以上が恩恵を受けています。ただ、シリア国内で支援を必要としている人に支援を届けることが大きな課題となっています。

シリア危機の深刻さは時間が経つにつれ増しており、資金は残念ながら十分ではありません。今年4月初旬にブリュッセルで開催される会議で、必要な人道支援の資金など、シリアの復興に関する協議が行われます。国連は今年、国内外で避難を余儀なくされているシリア人の支援に対し80億ドルを要請しています。これは、特に教育と生活の支援で重要な約束を結んだ2016年のロンドンでの会議に続くもので、こうした努力が続けられることが重要です。グランディ高等弁務官は「UNHCRは、膨大な支援のニーズに対応するために、ドナーに対し適切で柔軟な資金を提供してもらえるよう促しています」と説明。「資金があったとしてもシリア人の苦悩が終わるわけではありません。ただ、貧困や惨めな状況が深刻化する中、私たちができる支援の一つです。現在集められた資金だけでは、すべての課題を解決するためにはまったく足りません」

UNHCRは、最近の和平交渉が永続的で持続的な解決への道筋となることを望んでいます。「和平交渉だけでは難民が帰還するための状況を作ることはできません。永久的な平和と治安に必要な要素が揃えば、一世代としては最大規模の復興を行うべきです。それまでは、人道支援で避難を余儀なくされている人の生活が維持され、支援を必要とするすべての人に人道支援が行き渡るように拡大すべきです」

本件に関するお問い合わせ: UNHCR駐日事務所 広報官・守屋 03-3499-2042

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