アワドのストーリー
アワドの物語:ヨルダン
アワドは78歳。シリアでの紛争、そしてその影響が彼の住む町に及ぶまで祖国を去ることなど考えもしませんでした。シリアでは2人の妻と5人の息子、数え切れないほどの娘、孫、そしてひ孫たちに囲まれて暮らしていました。アワドは豆とトマトの栽培、またオリーブの収穫で生計を立ていました。しかし現在は家族と共に、小さな仮住まいに住んでいます。アワドの家族は2012年4月に、破壊された家の瓦礫の中から掘り出した礼拝用の敷物と衣類だけを持ってシリアを離れました。アワドにとっての祖国の思い出は、紛争のもたらした恐怖と破壊、また息子の死によって損なわれてしまいました。今はただ希望を失った祖国とアワドと同じように祖国を逃れた人たちと共に悲しみを分かち合っています。
「逃げる他になかったのです。
戦闘地域では兵士だけでなく市民も標的であり、私たち夫婦と子どもたちの命は危険にさらされていました。
私たちにはもう何も残っていません。
食べる物も飲む物もなく、家は破壊され、息子の命さえも奪われました。このテントは私たちの本当の家ではありません。シリアで住んでいた家は美しかった。2つのベッドルーム、美しい庭園、そして私のオリーブの木。私たちはとても幸せに暮らしていました。紛争が起きてからシリアという国も、シリア人も変わってしまいました。」
今はただ家に帰れる日が来ると信じるのみです。
記事:K・マクファデン(K. McFadden)