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「バタフライ」ナンセン難民賞2014受賞
アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は9月29日の夜、スイス・ジュネーブにて栄誉ある「ナンセン難民賞」をコロンビアの女性の権利団体「バタフライ」に授与した。
「バタフライ」のメンバーはボランティアとして、毎日のように自らの命を危険にさらし、ブエナベントゥーラで家を追われた人や性的暴力の被害者を支援している。ブエナベントゥーラは悪化する武装勢力の対立によって、コロンビアの中でも最も暴力事件と家を追われて避難する人の多い地域になった。
「バタフライ」のメンバーは最も危険な地域を訪問し、被害にあった女性が医療サービスを受けたり、被害届を出すための手助けをしている。地域に深く関わるこの活動は、最も弱い立場の女性に支援を届けることができるが、同時にメンバーの身は武装勢力による暴力や脅迫にさらされることになる。
今年で60周年を迎える「ナンセン難民賞」は、ジュネーブのバティモン デ フォルス モトリスで開催され、UNHCRのサポーターであるシンガーソングライター、スウェーデン系レバノン人のマハル・ゼインとマリ出身のロキア・トラオレが演奏し、ステージを飾った。またメキシコのアコースティックギターデュオ、ロドリーゴ・イ・ガブリエーラも登場した。
避難から40年、故郷アンゴラに帰還するアントニオ
アントニオはアンゴラ共和国北部にある故郷の村に帰還するまで40年間待ち続けた。アンゴラがポルトガルの植民地だった時代にコンゴ民主共和国へと避難したアントニオは、アンゴラで起きた内戦の間、そして2002年の内戦終結後もコンゴに避難していた。そして今、難民ではなくなったアントニオがついに帰還する。
帰還の前夜、アントニオと家族が暮らすキンシャサの賃貸アパートで、おんぼろの椅子に座る66歳のアントニオは興奮を隠せない。「故郷に帰ることを考えると、嬉しくてたまりません。よその国で難民として暮らすより、自分の国の市民でいるほうがずっといい。やっと自由になりました」妻と姉、孫に囲まれてアントニオは語った。
写真家ブライアン・ソコルはアントニオと家族4人が8月19日、キンシャサを離れバ・コンゴ州カンプズまで電車で7時間、そこからさらにアンゴラ国境までバスで向かう様子を追いかけた。アントニオたちは今回祖国に帰還する最初のグループの中にいた。2002年以降、UNHCRはアンゴラ難民の自主帰還プログラムを支援してきたが、今回が第3回目で最後となる。
アントニオの家族は、現在アンゴラで新たな困難の数々に直面している。しかし帰還前、将来の不安よりも、喜びのほうがはるかに上回っていた。「国境に着いたら、きっと踊りだしてしまうわ」アントニオの姉、マリアは言った。UNHCRは3万人近くの元アンゴラ難民の帰還を支援している。
ウクライナ:瓦礫の中に希望を求めて
ウクライナ東部ドネツク州のスラビャンスクは、長引く対立によってすっかり変わってしまった。ソーシャルワーカーのアンジェリーナは、「ここは静かで、整然とした美しい町でした。」と語る。しかし現在は、破壊されたインフラや家屋が、ウクライナ軍と親ロシア派勢力の衝突がもたらした被害の大きさを物語る。住人の半数以上に当たる約7万人が、今年始めの対立が原因で避難を余儀なくされた。先日ウクライナ政府がこの地域の主権を取り戻したことで、1万5000人が帰還を果たしたが、課題は残る。80歳のマリアは自宅の一部が破壊されたが、今は家族と共に台所で生活している。年金が貰えるのかどうかも分からず、心配は尽きない。マリアのように家が被害を受けた人々の為に、UNHCRは衛生用品や台所用品を支給している。フォトジャーナリストのイヴァ・ジモヴァ(Iva Zimova)はUNHCR職員に同行し、支援物資を受けとった家族100世帯以上の様子を写真におさめた。
マラク13歳 長い避難の旅
どこにもいる父と息子のようにフェワズとマラクにもうまくいかない時がある。狭苦しいアパートで共同生活を送る中で、息子の新しい髪形や、喫煙がいさかいの種になることがある。しかし、シリア難民である2人は強い絆で結ばれている。2人は1年ほどアテネ周辺をあてもなくさまよった辛い経験を共有しているからだ。
2012年の夏、シリア紛争が平和な生活を奪い去り、家族全員が避難を余儀なくされた。一家はトルコから何度もギリシャに入国しようと試みた。13歳のマラクにとってギリシャとトルコの国境を越えるのは初めての経験だった。
家族は地中海を船で渡って避難するために、持ってるお金を投げうったが、ギリシャの沿岸警備隊に追いかえされた。6回目の試みで、一家はようやく国境を越えることが出来た。別々に避難したフェワズの妻と2人の子どもはドイツに辿り着いた。一方マラクはギリシャにいたため、父フェワズはマラクに再会するためアテネへと向かった。
「父とアテネで再会した時、嬉しくて言葉が出ませんでした。」とマラクが言う。しかし、マラクは父をまた失ってしまうのではないかという不安にいつも怯えている。
「父が連れ去れるのが怖い。父なしでどうやって生きていけばいいのか・・」
家族皆が再会できるまで、マラクとフェワズは力を合わせて生きていこうと決めた。マラクはギリシャ語を学んでいる。フェワズは息子の新しい髪形が見慣れてきたという。