Tokyoリリース
【プレスリリース】シリア難民の子どもたち:「失われた世代にしないために」共同キャンペーン
2014年1月 7日
スイス・ジュネーブ発
UNHCRとユニセフ、セーブ・ザ・チルドレン、ワールド・ビジョンは、他のパートナー団体と協働で、シリア紛争の影響を受けている子どもたちのために共同キャンペーン「失われた世代にしないために(No Lost Generation)」を行なう。このキャンペーンは、紛争下にあるシリアの子どもたちが未来への希望を取り戻すことを目指すもので、各国政府や支援機関、一般の人々にシリアの子どもたちへの支援を呼びかける。
この試みは、来週クウェートで開催されるシリア人道支援会議に先立ち発表された。共同キャンペーンには総額10億米ドルが割りあてられ、シリアの子どもたちの教育や保護につながるプログラムが提供される。シリアの子ども支援への呼びかけは、ソーシャルメディア上でハッシュタグ(#childrenofsyria、#NOlostgeneration) をつけて積極的に行なわれる。
アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は「シリア難民の子どもたちは、将来を奪われつつある。しかし、まだ取り戻すチャンスはある。国際社会は迅速、且つ大規模な支援を表明することによってこの危機に応えねばならない。」と訴えた。
シリア紛争が始まってから3年目となり、難民、避難民となった子どもたちこそが紛争の一番の犠牲者である。家族や愛する人を殺され、学校が破壊され、希望を打ち砕かれた子どもたち。その多くが、心身に深い傷を負っている。それに加え、児童労働や武装勢力への関与、早期結婚や性的暴力などの搾取の対象となってきた。
現在シリア難民の子どもの数は100万人を超え、そのうち42万5,000人は5歳未満の子どもだ。難民の大多数は、レバノン、ヨルダン、トルコ、エジプト、イラクに避難している。避難している子どものうち約8,000人が家族と離ればなれになり、避難生活を送っていることが確認されている。シリア国内では、300万人以上の子どもが避難民となっており、さらに過酷な状況にさらされている。
UNHCRとユニセフ、セーブ・ザ・チルドレン、ワールド・ビジョンと他のパートナー団体は、政府と地元コミュニティと協力し10億米ドルを支援活動に充てる。具体的には、子どもへの教育、搾取や虐待、暴力からの保護、心のケアを行うことによって、コミュニティ全体の安定化を図る。こうした取り組みには、国と地域に根差した子どもの保護システムの強化も含まれる。
本キャンペーンでは、一定水準以上の教育の機会を確保し、学校へ通えていない子どもたち用のカリキュラムを導入する。また職業訓練や教員の研修、やる気を刺激するプログラム、子どもへの更なるリスクを軽減する安全な環境を生み出すための環境づくりも行われる。
シリア国内では、就学対象年齢の子どもたちが安全に学校へ通えるようにすることが極めて重要である。また、就学前の子どもたちと学校へ通えていない子どもたちのために、学校のクラブを通じて補習授業や心のケアを行なう。
「国際社会による大規模な支援がなければ、シリア難民の子どもたちに未来はない。子どもたちの未来がないということは、シリアという国自体の未来が失われることを意味する。」グテーレス高等弁務官はこう訴えた。
本キャンペーンをすすめるにあたり、ウェブサイトを開設した。http://championthechildrenofsyria.org/ このサイトでは紛争の影響を受けたシリア難民の子どもの人生が支援によっていかに変化していくかを伝える。さらに長期的視点に立ち、子どもへの支援活動がシリアと周辺地域の未来に何をもたらすかも紹介していく。
*「失われた世代にしないために」共同キャンペーンは既存の緊急資金要請に基づいて行われる。1つはシリアの周辺国などに逃れたシリア難民の子ども支援を視野に入れた「国連シリア地域対応計画」である。2つ目は、シリア国内で避難しているシリア難民の子どもを対象にした「シリア人道支援対応計画」である。