2011年、先進国において難民庇護申請者数急増−UNHCR報告書を発表

2012年3月27日 

 © UNHCR
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2012年3月27日、ジュネーブ発  ---  先進国における庇護申請に関する報告書を国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が本日発表した。報告書によると新たに発生した紛争に加えて、アフガニスタンなど問題が長期化する地域からの難民の増加により、2011年に庇護申請者数は20%増加した。

UNHCR報告書「先進国における庇護申請の現状と動向−2011」では、2010年には36万8000人の庇護申請があったのに対し、2011年は推定44万1300人の申請が記録されている。この報告書はヨーロッパ、北米、オーストラリア、北東アジアの44か国を対象としている。

相対的に南ヨーロッパでの増加が最も多く、前年比87%の増加である6万6800件の庇護申請があった。申請の多くはイタリアやマルタに船で到着した人によるものだが、合わせてトルコでも申請数の急増が見られる。

アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は「2011年が多くの人にとって非常に困難に満ちた年であったということを、今回の庇護申請の多さは、明確に示している。しかし、このような状況の中、国際的に庇護申請システムが安定していたということは感謝すべき点である。しかし依然として、これらの数値を将来の展望に含めていくことが重要である。全ての先進国が受け取った庇護申請の数は、依然としてケニア北東部にあるダダーブ・キャンプの人口に満たない」と述べた。

全体としてみると、ヨーロッパの38か国における庇護申請は他のどの地域よりも多く、合わせて32万7200人の申請を登録し、2010年から19%の増加をみた。北米は前年に比べてほぼ4分の1の増加にあたる、9万9400人の申請を受けた。日本と韓国は前年比77%増にあたる、2900人の申請を登録した。

北欧諸国とオーストラリアでのみ庇護申請者数が減少し、それぞれ10%(4万5700人)および9%(1万1800人)の減少となった。

西アフリカおよびアラブ諸国における騒乱を反映して、コートジボワール、リビア、シリアおよびその他の国からの庇護申請者の数は2010年から1万6700人増加して、記録的な申請数となった。

出身国別では、アフガニスタンが最も多く、34%増加の3万5700の申請者数であった。中国は昨年に引き続き2番目に多く(2万4400人)、それにイラクが続いた(2万3500人)。

【ダウンロードはこちら】 
UNHCR報告書 《Asylum Levels and Trends in Industrialized Countries》(英語)


【補足情報】
■UNHCRは44か国における庇護申請の動向に関する統計報告を年2回発行している。他国の庇護申請のデータは、年1回発行しているグローバル・トレンドに含まれている。次回の発行は2012年6月予定である。

■2011年ではアメリカは44の対象国中、推定7万4000件と最も多くの申請を受けている。しかしながら、世界的に観ると、南アフリカ(44の対象国に含まれていない)が10万7000人と最も庇護申請数が多かった。

■注意事項:
庇護申請の統計は、移住の傾向や難民認定者数を表すものではない。

 

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