ウクライナ:1万人が家を追われる

2014年5月20日 

服をたたむ避難民の女性。この療養所ではクリミア半島からの避難民を受け入れている。 © UNHCR/N.Dovga
© UNHCR/N.Dovga
服をたたむ避難民の女性。この療養所ではクリミア半島からの避難民を受け入れている。

ウクライナでの政情不安と緊迫化を受け、これまでに家を追われた人は1万人に上り、さらにこの数が増え続けていると5月20日UNHCRは伝えた。

エイドリアン・エドワーズUNHCR報道官は「我々はどのような支援が必要とされているかの調査を最近終えたばかりで、その結果に基づき現地の行政機関、他の国連機関、パートナーであるNGOと共に支援活動を行っている。支援内容は、法的支援、150家族を対象にした生活補助金の支給、2000人分の現金支援、50家族分のより良いシェルターの提供などである。」と述べた。

エドワーズ報道官によると、ウクライナ国内で避難する人が出始めたのはクリミア半島がロシアに編入された今年の3月であり、それ以来徐々に数が増加している。避難民の数は地元の行政機関が把握しているデータを基にUNHCRが集計している。

過去にクリミア半島から逃れ、さらに今回ウクライナ東部から逃れたなど、複数回避難を経験している人もいる。そのような人の多くがタタール人であるが、最近はウクライナ系、ロシア系、またそのどちらも含んだ家族などの数が増えていると報告されている。

避難を強いられている人の3分の1が子どもである。ウクライナ国内で避難している家族の45%がウクライナ中央部へ、26%がウクライナ西部へと逃れているが、中には南部や東部へ逃れた人もいる。しかし国境を越えて庇護申請者となっている人はまだ少ない。

「我々が聞いた避難の理由は、脅しを受けたから、身の危険や迫害の恐れを感じたからなどである。電話で脅迫されたり、ソーシャルメディアを通して脅されたり、自宅に脅迫のメッセージが置かれていたりなどの例が報告されている。迫害の恐れを感じる理由は様々で、民族、宗教、またはジャーナリスト、人権活動家など普段の活動内容が迫害の不安を感じるなど様々である。なかには迫害を恐れそれまでの仕事を辞めた人もいる。」

避難している人が直面している課題は公共サービス、長期滞在可能なシェルター、経済的、社会的に支援を受けるため既存の住民票を避難先へ移動させることなどがあげられる。国内避難民への支援は地方政府、現地のコミュニティによる組織、個人によるボランティアなどが協力して行なっている。避難している人は地元の行政機関から提供されたシェルターや、療養所やホテル、個人の家などで生活している。

「このような受け入れコミュニティによる支援には限界がある。長期滞在可能なシェルター、雇用機会の拡大、長期的視野での受け入れコミュニティ支援が求められている。」とエドワーズ報道官は説明した。さらにクリミア半島から逃れてきた人の権利を守る新たな法律をUNHCRが好意的に受けとめていることを伝えた。

この法律によってウクライナ市民がクリミア半島とウクライナを行き来する自由を保障し、身分証明書の再発行が可能であり、選挙権も守られる。今後は避難を余儀なくされた人が国際法や国内法の枠組みにおいてウクライナ市民としての平等な権利と自由が保障されるようさらなる取り組みが必要である。


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