コートジボワールから逃れたイレーヌ
職業訓練所の女性たちに希望を与えたい
イレーヌ(27歳)
ある木曜日のことです。私はコートジボワール最西部のダナネという町にある自宅で、仕事に行く準備をしていました。そのとき電話がなり、父が殺害されたことを知りました。その朝、父はいつものように「先に行くけど、またあとでね」と言って家を出ていきました。その父が変わり果てた姿で帰ってくるなんて、誰が想像したでしょう。辛くて辛くて、胸が張り裂けそうでした。私は父のことを深く愛していました。
自宅も襲撃に遭い、私は5人の男たちによってレイプされました。背中を撃たれ、無我夢中で走りました。赤十字国際委員会が私をリベリアまで運び、目を覚ましたときにはサクレピー 難民キャンプにいました。医師の懸命な処置により私は一命をとりとめたのです。お腹にいた7ヶ月になる息子も無事でした。
今でも、私たち家族に起こった出来事を思い出すのは辛いです。だからもう、コートジボワールには戻りたくありません。
私はリベリアの首都モンロビア で、UNHCRの支援を受け職業訓練所を設立しました。今はそこでリベリア人と難民の女性に裁縫などを教えています。リベリアの人たちは、私を温かく迎え入れてくれました。だから今度は、私がお返しする番です。
「私はこれまで、何度も辛い目に遭ってきました。そして、同じように辛い経験をした女性たちをたくさん見てきました。でもそのことで、彼女たちに自分の人生を諦めて欲しくないのです。私は生き延び、こうして今人生をやり直しています。だから彼女たちにも、自分を信じてたくましく生きて欲しいと思います」
政情不安や民族対立により発生した第一次コートジボワール内戦は、75万人の国内避難民を生み出し、3万~10万人がリベリアへ逃れました。イレーヌもその一人です。
UNHCRはリベリアで職業訓練を行い、難民女性の自立を支援しています。イレーヌが運営する職業訓練所では、これまでに50人以上の難民や女性を支援してきました。裁縫や髪の結い方など技術面の指導だけではなく、戦争で傷ついた人々の心のケアも行っています。
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